良いコンセプトの書き方の一つに、「似て非なる」を利用する方法があります。
これを使うと、非常によい表現に達することができます。
なぜなら、企画やコンセプトの特性の一つに「良いモノから、更に良いモノを選ぶ」という点にあります。
企画、特に競合の企画というのは、「良い企画と悪い企画」が競り合うのではなく、「良い企画と良い企画」が競り合っています。つまり、大きな方向は同じ。問題は最初にある小さな差に有ります。いや、その小さな差こそ大事。
その小さな差が、実行まで至る長い時間の間に大きな差になる。だから最初の小さな差にしっかり目を向けさせることが重要なのです。
だからこその「似て非なる」表現なのです。
私自身は昔、
不満はなくせないが、
不平はなくせる
というコンセプトを提示したことがあります。
「不平」と「不満」。似ているような言葉にワザと違いをつけて、その違いを強く意識させるのです。
ここでは「不満」は絶対なくせない人々のニーズ。「不平」は、その不満を聞いて貰えないことから生じるイライラ。
前者は理性的で建設的な可能性を持っているが、後者は感情的で破壊的な可能性を持っている。
この差をキチンと理解させるために、似た言葉を対比させて使ったのです。
(この言葉がどう使われたかは、いつかご説明したいと思います。 )
これはテクニック的にはCompare & Contrastといいます。
Compareは「似ている点を挙げる」こと。この場合では言葉の似ている点を指します。
そしてContrastとは「違いを際だたせる」こと。この場合は意味の違いを指しています。
もう一つ、このテクニックを使った素晴らしい言葉を紹介しましょう。
紹介するのは最近、このブログで紹介することが多い中村屋の大将、中村栄利さんの言葉です。
これが中村大将から聞いた言葉・・・
こだわることではなく、
極めることをしたい
一つの道を進んでいくと、そこから「こだわり」と「極め」に道が分かれるそうです。
「こだわり」というのは、自分の枠組みを決めて、そこを深く掘っていく。逆に「極める」というのは、外部に適応しようとして、進化を目指す。
正直、どちらがいいという訳ではありません。判断は皆さんにお任せしましょう。
しかし、これによって「似たように見える」努力が、実は目の向いている方向が「異なっている」ことがわかります。
例えば、地域ブランドなら「こだわらず、極めよう」と言えば、それは「顧客との接点から進化を目指す」という違いを生じ、例えば「自分たちの工房を公開しよう」といった具体策に結びつきます。
同じ方向に向かう小さな違い、これこそ「ディテールを大事にする」ことです。
私はコンセプトを書くことが生業なのですが、お客様には「コンセプトは本当は大事ではない」とお話しします。
では何が大事なのか?
大事なのはディテールです。
細部に神が宿ります。
絶対に忘れてはいけないこと。それは・・・
お客様はコンセプトを読めない。
お客様が接するのは常にディテールだ。
ということなのです。
では、なぜコンセプトが必要かというと、細々して、担当する部署や人も異なる可能性が多く、更に常に新しいことが発生する中では、それを「発想レベルから統一していく必要があるから、発想の原点として、規範としてのコンセプトが必要」なのです。
「似て非なる」言葉遣いを使って、細部を際だたせるコンセプトを書く。
これは結構、使える方法です。


