2006年08月31日

ブランドの社会的な意味

この時間に、このような文章を書くことを、世間では「現実逃避」と呼びます。
特に目の前にやらねばならぬ仕事が山積みの時は。
しかし、現実逃避って、止めようと思うほど深みにはまるんですよね。


さて人間、不惑を越える年頃になると、自分のやっている仕事の社会的な意味を考え始めます。
そんな事がビジネスに必要か・・・要は金儲けだろう!
・・・という意見に素直に賛成できない・・・ことが年寄りの証拠なのでしょう。


さてさて・・・(ちょっと長いですよ)

ブランドをやることの社会的な意味とは何か?
確実に、「多く売る、大きく儲ける。つまり消費の高揚」ではないように思えます。消費の高揚は部分的な意味であって、社会的な意味と呼ぶには"?"だと思います。

私はブランドの社会的な意味は「消費」に対する「成長」だと思っています。
成長という代わりに「学び」と呼んでもよいかも知れません。

まず働く者(生産者)の成長(学び)があります。
自分の労働力を消費して、代わりにお金を得る、という働き方ではなく、働くことで自分の成長を感じること、逆に言えば成長するように働くこと。(私の時代までは、社会科の授業でも、どこかマルクス調が残っていたので)
「阻害される労働」ではなく、「働くことに価値を見いだせる労働」です。
私のブランドは、二言目には「ブランディングはヒトづくり」だとか、「インターナルブランディングこそ大事」とか言うのは、これだからです。

次に購入者の成長(学び)があります。
これもシツコイくらい繰り返している事ではありますが、
私のブランドの理想には、
「人はモノを買うのではなく、自分の成長を買うのだ。モノは手段だ」
というものがあります。
モノが主人なのではなく、自分が主人なのです。
モノが主人になると、消費こそが目的になってしまいます。
ブランドが「情報価値」を伴っているのは、それを通じて人が成長するためです。
ブランドをやっていると「いかに自分たち(作り手)が偉いか」という話しを良く聞かされます。しかし、本当に素晴らしいブランドは「いかにお客様が個性豊かで偉いのか」の話しが必ず出ます。
「お客様が大切」や「支払ってくれるから偉い」のではないのです。
その人が「個人として、個性の発信点として偉い」のです。
だから、「顧客に成長して貰いたい」と思う。それが「商品に高い情報性が付け加えられる、細やかな配慮やこだわりが付け加えられる」のです。

最後にビジネスの成長があります。
ビジネスというのは、金銭的に表されるものだけでなく、「関わり」も含みます。
なぜなら、人間には衣食住を越えた「エンターテイメントバリュー」があり、現代の生活では、それが占める割合が増えているからだと思うからです。
エンターテインメントバリューは、お金だけでは表せないモノです。
例えば、2003年に日本政策投資銀行がアルビレックス新潟が県内経済に与える経済効果を試算しているのですが、これが直接・間接合わせて21〜25億円。本当に少ない額です。
しかし、心の豊かさに与えた効果はどうでしょう?
心の豊かさ・・というと嘘くさく聞こえますが、つまりアルビレックス新潟と
同じだけのエンターテインメントを他の手段(施設型として)で供給するには、いったいどれくらいのお金が必要か、という事で換算できるはずです。
心の豊かさ、は嘘くさく聞こえますが、それをエンターテインメントバリューと考えれば、「関係から生み出される価値」も創造できるはずです。
もちろんインターネットにはこの「関係価値」が満ちています。
ブランドは「競争価値」から「関係価値」へとビジネスのパラダイムを変える。
そういうインパクトがあると思っています。

「作り手の成長」「受け手の成長」そして、その両者の「出会いの成長」。
ブランドの社会的な意味は、この成長にあると思いますが、いかがでしょうか。


posted by BLC at 00:01| Comment(5) | TrackBack(0) | 自分への備忘録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たくさんの「学び」をいただきました。

ブランドのキモが「成長」というのは納得です。「関わり」=つながることの価値、これからますます大きな意味をもってきますね。

昔は地場産業、そして戦後は企業城下町と「モノづくり」をつうじて「ヒトづくり」そして「つながり」という資産が地域に蓄積されていったものです。でも、モノ作り拠点の海外へのシフト、情報化といった流れの中で、地方の「ヒトをつくり」、「つながり」を育む企業の激減してしまったような気がします。

でも、小出さんのこのブログで気づきました。アルビレックスのような地域密着のサービス業こそが、「ヒトづくり」、「つながり」をつくることができる。サービス経済化は、真剣にブランドになろうとする企業(=ヒトのチカラでブランドになる)にとってまたとないチャンスなのかもしれませんね。

いつもながら「成長」のきっかけをいただきありがとうございます。
Posted by 高橋@スタイルワークスグループ at 2006年09月01日 16:32
高橋様:

コメント有り難うございました。

「ヒトのチカラでブランドになる」
このキャッチフレーズ、素敵ですね。
各所で、引用させた頂いて構いませんか?
Posted by コイデ at 2006年09月01日 22:36
小出さんのような本物の方に引用いただけるのでしたら、光栄です。

私自身、目に見えるところでブランドづくりは素人。そのため、いつもインビジブルなところからアプローチすることになります。そこで行き着いたのが「ヒトのチカラでブランドになる」というコンセプトです。
Posted by 高橋@スタイルワークスグループ at 2006年09月06日 13:35
さっそくご許可いただき有り難うございます。
(私は"本物"と言われるほどのものではないですよ)

ちなみに、こんな風に使わせていただく予定です。

「モノは所詮、モノに過ぎない。ヒトのチカラでブランドになる」
ちなみに、先日ある地域で盛り上がった酒飲み話は「産物」じゃなくて「産人」を誇りたいね・・・でした。
Posted by コイデ at 2006年09月11日 16:15
「産人」とはまさしくですね。

じつは私の知人が島根県のブランドコンサルティングをしています。彼からの話を聞いていて、成功する特産品とそうでない特選品を分けるモノ、結局は作り手(人)に行き着きます。

しかも時間が経てば経つほど、信念を崩さず、その生き様が垣間見られる産物はますます輝いているような気がします。

またまた学びを得ました。

Posted by 高橋@スタイルワークスグループ at 2006年09月12日 13:41
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