2010年06月22日

『お客様を素敵にするビジネス(仮)』 原稿公開 第6回

現在、執筆中の『お客様を素敵にするビジネス〜Branding in Next Decade』(仮題)の初稿原稿です。
まだ初稿ですので、皆さんのご意見を戴きながら手直しをしていきたいと思います。どうぞコメントか、あるいはメールください。
御礼として、出版時に献本させて頂きます。

○全体の構成は「序章」+「本文6章」+「終章」です。

○今回は「序章」の6/8回目です。
(8回までを毎日18時前後に投稿します)

過去の公開原稿:第1回第2回第3回第4回第5回
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「モノづくりブランディング」と「関係づくりブランディング」

 

 さて、議論を整理しておきましょう。

 ブランディングとは、ブランド(名前)が何を指すのかを明確にすることでした。

 そして既に述べてきたように、日本では製造業(特に世界中でシェアを争う大企業)がブランドにおける主役だったため、名前をつける対象については「製品」あるいは「製品のつくり手企業」であることは当然と考えられてきました。

 これをここでは「モノづくりブランディング」と呼びましょう。

 この場合、価値は「モノ(あるいはその作り手企業)の中」にあります。だから、その価値を「知らしめる」ことがブランドづくりの最大の目標になります。すなわち「広告・広報こそがブランドづくりである」という考え方です。ブランドの入門セミナーで「ブランドって何ですか?」という質問の答えはばらばらなのですが、「あなたの会社がブランドになるというのはどういう状態だと思いますか?」という質問の答えはきまって「誰もが知っている、有名である」こととなります。このあたり、いかにモノづくりブランディングが皆さんの心の奥深くまで浸透しているかが分かります。

 

 ところで、最近はスーパーコピーという商品が出回っているようです。ルイ・ヴィトンやエルメスなどの「ブランド品」のまがい物です。ただし過去の模造品とちがい、プロでさえも見分けるのが難しいほど完成度が高いそうです。男性ならば(特にそれが、奥様や彼女にねだられて買わざるを得ない立場にあれば)「見分けられないなら、本物もスーパーコピーも変わらない」と考えるかもしれません。そうすると、本物とスーパーコピーの信じられないほど大きな価格差は、「モノの中」には見つかりません。そのブランドが持っている過去からの神話・スキャンダル、それを持っている人の社会クラス、さらには(上にもあるように)贈り主と貰い主の関係(「偽物を贈るはずがない」というお互いの信頼関係)が価格差を決めるのです。

 さて、この時に「ルイ・ヴィトン」という名前は何を指しているでしょう。そう、モノではなく、「歴史や社会階層、社会関係」を指していますし、そこに「価値」が見つかります。このモノの外にあって、モノと社会(人々)の関係から決まる価値に対して名付ける(そこに価値があるのだと識別できるようにする)ブランディングを「価値づくりブランディング」と呼びたいと思います。

 この典型例がハーレー・ダビッドソンというブランドです。ハーレーはメイド・イン・ジャパンのオートバイに品質で負け瀕死の状態の時に、「ハーレーを愛し続けてきた人々の信条やつながり」に価値を見いだし、それを「ハーレー・ダビッドソン・オーナーズクラブ」というブランドを冠します。アップルもマッキントッシュが登場した際には、「マッキントッシュ・ユーザーズ・グループ(MUG)」やそういった顧客の代表(エヴァンジェリスト)を大切にし、マッキントッシュを単なるコンピュータから社会を変えていく変革の旗印と位置づけたのです。

 

 ここで、少し本をめくる手を止めて考えてください。「モノ」ではなく「関係」をブランドの対象にする(ブランディングする)という可能性です。この本で扱うブランディングは、主にこの「関係づくりブランディング」です。「関係こそ価値の源泉である」というのは、今までの日本の常識的なブランディングと180度違います。だから俄には理解しがたいかも知れません。その理論と実践的なケーススタディーを紹介し、皆さんにこの反常識的なブランディングを知って頂きたい。それがこの本の狙いです。そして反常識だからこそ、競争に巻き込まれず十年先に輝くブランディングになるのです。

 

「関係づくりブランディング」、そして「付加価値」(続く)

posted by BLC at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | お客様を素敵にするビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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