2010年06月21日

『お客様を素敵にするビジネス(仮)』 原稿公開 第5回

現在、執筆中の『お客様を素敵にするビジネス〜Branding in Next Decade』(仮題)の初稿原稿です。
まだ初稿ですので、皆さんのご意見を戴きながら手直しをしていきたいと思います。どうぞコメントか、あるいはメールください。
御礼として、出版時に献本させて頂きます。

○全体の構成は「序章」+「本文6章」+「終章」です。

○今回は「序章」の5/8回目です。
(8回までを毎日18時前後に投稿します)

過去の公開原稿:第1回第2回第3回第4回
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「シェア(マーケティング)」と「ブランド(マーケティング)」

 マーケティングにとって最も重要なのは、いかに自社の生産量を大きくするかです。ご存じの通り、従来の日本経済を引っ張ってきた製造業では、生産量=コスト競争力であり、同時にそのコスト競争力こそが利益の源泉でした。また厳しい競争の中では、他社との相対的な生産量の差が、そのまま企業の競争力に直結します。ただし、その生産量を確実に市場で販売するか。従って、生産量をいかに販売量として実現するか、そして他社に対して生産量=販売量で相対的に優位に立つか、つまり高い市場シェアを獲得するかが一番重要な課題になります。

 いかに(通常は過剰な)生産量と(通常は過小な)販売量のギャップを埋めるかという課題に答える具体的な手段が、マーケティングの4P(製品、価格、流通、販促)があり、またそれを支えるもう一つのP(生産性改善)があります。

 それに対してブランディングにとってもっとも重要なのは「価格」です。

 既に申し上げたように、ブランディングとは「やるべきでないことは絶対にやらない」ことです。例えば、いかに売れるチャンスがあっても、それで品質が下がるなら(たとえ、それに気がつく消費者が百人に一人以下でも)決して売り上げを追わない、という決意です。これだけ聞くと、本当にかっこいいです。

 しかし、それは常に「多大な機会損失が発生する」ということです。ブランディングを目指す企業が挫折する原因は「背に腹は代えられない」あるいは「こんな好機を見逃すなんて経営者ではない」という機会損失への恐れです。経営者だけでなく、おそらく多くのビジネスパーソンにとって値引きよりも機会損失の方が何倍も恐ろしいのではないでしょうか。

 だからこそ、機会損失を埋め合わせるために高価格が必要なのです。一割、二割といった競争的な価格差ではなく、時に倍以上と言った機会損失を埋められるだけの圧倒的な価格差です。

 ブランディングにおいて高価格とは「あればよい」ものではなく、「なくてなならない」ものなのです。「価格から考えないブランディング」は市場開拓しないマーケティングと同様、ありえないものです。

 「販売の最大化を狙うマーケティング」、「価格のプレミアム化を狙うブランディング」。似ているようでいながら、その考え方はまったく正反対にあります。もちろん、売り上げ=販売量×販売単価ですから、実際のビジネスではこの2つをまったく切り離すことはできません。マーケティングの活動の中にもブランディングが必要になることはあります。またブランディングだからといってマーケティングを無視してはいけません。ただし、自社のビジネスの本質を考える際には、このように2つの異なる角度から考えてみることはきわめて重要です。ソニーの盛田昭夫・井深大コンビ、ホンダの藤沢武夫・本田宗一郎コンビを見ても、マーケティングとブランディングという2つの発想によって自社のビジネスを広い視野から見ることが大事だということが分かります。逆に言えば、これらの人たちにとっても、マーケティングとブランディングの考えは、それを使いこなすに得手不得手があるということです。

 他の方の良書では、「量を狙うビジネスをシェア・マーケティング」、「高価格を狙うビジネスをブランド・マーケティング」と表現しています。基本的にこの本の考えもほぼ同じなのですが、あえてシェア・マーケティングとブランド・マーケティングを「マーケティングとブランディング」という言葉で表現したのは、この2つをきちんと分けて考えるためには言葉も分けた方が良いと考えたからです。この点はご理解ください。

「モノづくりブランディング」と「関係づくりブランディング」(続く)

 

posted by BLC at 07:46| Comment(0) | TrackBack(0) | お客様を素敵にするビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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