最後と言いつつ、また書いてしまいました。
(最近、仕事は夕食後から朝までやる癖が付いてしまって)
分析というほどではありませんが、以下にA組の日程と「移動」をまとめておきます。
組み合わせの良さは既に確認しましたが、今度は「日程」を詳しく見てみましょう。
結論から言えば、「組み合わせ」だけではなく「日程」にも日本は恵まれました。
ただし、「恵まれる」と「勝てる」は別。厳しい最終予選であることは間違いありません。
(なお、どの図表もクリックすると拡大します)
W杯最終予選A組の試合日程と移動距離
上図は以下のように計算しています。
◎表の中の数字は、その節の試合をするために、事前にどれくらいの距離を移動しなくてはならないかを表している。
○移動距離は、簡易的に各国の首都間の直線距離で計算。
○当然、ホームの場合は移動距離0km。
○次の試合まで中断期間がある場合、帰りの移動距離は加えない。
○次の試合が2連戦の最後が休みの場合、帰りの移動距離は加えない。
○オーストラリアはほとんどの選手がヨーロッパをベースに活躍しているため、選手は「ロンドン」から移動するものとして計算。
また、表記の凡例として
○オレンジ色の網掛けは「ホーム」開催。
○距離が赤字で表記されている場合、「対戦相手が前節、休み」のケース。ただし、前節との間に中断期間がある場合は、通常の黒字で表記。
さて、表を見て分かるのは・・・・
●オーストラリアはかなり不利であることが分かります。
選手は日本の倍近い移動距離です。更に6月10日(最終3連戦の2戦目)は6月6日のカタール戦から中3日で12,240kmを移動してオーストラリアに移動です。
しかも、対戦相手のバーレーンは前節に試合がないので、オーストラリアに早く入ることが出来る為(場合によっては、ニュージーランドとの調整マッチもあり得る)、調整という意味ではオーストラリアよりも有利です。しかもオーストラリアの主力はヨーロッパ組ですから、ホームのアドバンテージが他のチームより強くはないのです。
オーストラリアの(ある意味での)優位は、下にも書きましたが「ウズベキスタンとの組み合わせ」です。ただ日本としては、そのおかげで漁夫の利を得る可能性があります。
△ウズベキスタンは、アジアの真ん中にあるせいか、移動距離が短いという有利があります。(ただ、チャーター機などの準備が出来るかどうかは別です。ウズベキスタンの弱みは選手よりも、協会のサポート能力にあると思われます。)
彼らの日程は、山場の最終3連戦の真ん中に休みがあるという意味では最高です。しかも最終戦はアウエイとはいえ、相手のバーレーンはオーストラリアからの移動。この最終戦まで結果がもつれていると、ウズベキスタンにアドバンテージが生まれます。
ところがウズベキスタンは、オーストラリアとの2戦とも、2連戦の2試合目に「前節は試合がないオーストラリア」と闘います。しかも、この連戦の間は、いずれも移動しなくてはなりません。
オーストラリアとのこの2戦を凌げるかどうかが、ウズベキスタンの命運を分けます。
○バーレーンは、終盤に移動が大きくなります。2連戦の中での日本とオーストラリアのアウエイがあるからです。
ただし両方の試合とも、先に日本、先にオーストラリアと闘います。その分、十分に準備が出来るので気が抜けない相手です。ただ、この時期になると出場停止が出てくるはず。特に日本やオーストラリアとの闘いではカードをもらう可能性も高く、長距離の移動と出場停止で、次戦(カタール、ウズベキスタン)が苦しくなる可能性があります。 バーレーンは比較的組み合わせが有利な序盤が勝負です。
対日本戦で勝ち点を失うと(引き分け以下)チームが混乱する可能性があります。
◎日程的に一番、恵まれたのがカタールです。
バーレーンと同じくオーストラリアのアウエイ戦は先乗りできます。日本とのアウエイは中3日の移動になりますが、日本戦が最終戦であり、ある程度はカードを気にしない闘いが出来ます。移動距離も日本の2/3程度です。ただ、この組の中で最もFIFAランキングの低い国が一番スケジュールが良いと言うことは、彼らが予選リーグをかき回すことが予想されます。そうすると、日本やオーストラリアよりも、ウズベキスタン、バーレーンが被害者になる可能性がたかいと思います。
☆さて、最後に我らが日本です。
一番厳しいのが、6月最後の3連戦。日本が唯一の3戦とも移動ありです。ここが厳しい。
ただ、めちゃくちゃに悲観する必要もなく、この3連戦の移動距離は、日本が19,940kmであるのに対して、オーストラリアも17,490km、バーレーンに至っては24,760kmになります。3連戦で一番移動が少ない(2,470km)ウズベキスタンとは、日本は3連戦の初戦に当たるので、あまり大きな差ではありません。次に移動の少ないカタール(8,270km)とは、この3連戦で当たりません。
また、オーストラリアの選手は、この3日間に10時間(仮にイングランドを基準にした場合)の時差を経験しますが、日本の選手は5時間ですみます。
結論として、日本は組み合わせ的にかなり恵まれていると思います。
このグループは、「強い」と思われているチーム(除く日本)のスケジュールが厳しいため、上位と下位の差がなかなか開かない可能性があります。そうなると、日本が「事故のような敗戦(例えば3次予選のバーレーン戦など)」をしても、取り返しがきくということです。トーナメントなら予想外の結果も起こりやすいですが、リーグ戦の場合は結局、収まるところに収まりやすくなります。
ただし、この恵みを本当の幸運に変えるには・・
1)初戦のバーレーン戦で引き分け、もしくは勝利を収めること。
→本当の敵は「22:00Kickoff(放映開始)を考えるメディア」か?!
2)4節までに出来れば勝ち点7にしておくこと(中東シリーズを1勝1分け)
3)2月11日のオーストラリア戦では、最悪で勝ち点1を得ておくこと。
→彼我のコンディションを考えれば、ここが一番苦しい。
第1戦が問題!というのには、もう一つ理由があります。
それは前にも書いた「岡田監督の考える(と私が考えている)ポストプレー」の組み立て方。
やはり、このトップの動き出しで相手を崩すシステム(そう、システムは数字の数え方(4-5-1とか、4-4-2)ではなく、どういうダイナミズムのことです)が機能するには、やはり暑さは大敵。第1戦はこの暑さが(そして、夏のJの疲れが)残っているからです。
とにかく、序盤が勝負です。
最後の3連戦は確かに厳しい。ですが、考えてみればウズベク、バーレーン、カタールは最大でも勝ち点6しか積み上げが効かないわけなので、最終節を待たずして順位が確定する可能性があります。
気を許してはいけませんが、普通に行けば6月10日のカタール戦には上位2位内を確定していると思われます。
最後におまけとして、日本代表のアジア移動マップ(&スケジュール)を。
クリックすると拡大します。
また、最初の表に、更に「対戦相手」と「現地の最低気温/最高気温」を加えた表をつくりました。
小さく見えますが、これもクリックすると拡大します。