(最初、コメント欄に返信を書き始めたのですが、長くなってしまったので、改めて記事にしてしまいました。今週土曜日の試合の前の予習です。ハッキリ言いますと、サッカーの話を書くのが好きで好きでたまらないのです。)
鷹佐様、コメントありがとうございます。
左合さんにはいつもお世話になりっぱなしで。ぜひ左合さんにパッケージをお願いした「かしこ」ホームページ(http://kasiko.jp)もお訪ねください。
《引用》
近視眼的自分には極端に中村俊輔の好プレーがつながった結果としか貧弱に見えてません。
《引用終わり》
いえいえ、仰るとおり中村俊輔が結果につながったのです。
たぶん、中村が居なければ(かつ、一点目のコーナーの点がなければ)、いつもの日本のように「圧倒的にボールを支配しながら点が取れない」という状況に落ち込んでいたと思います。
日本の激しい動きに混乱した相手ディフェンスですが、(私も長いことディフェンダーだったので判りますが)実は同じリズムで攻めてこられると、間一髪でも集中して守ることができるのです。例えば、ある試合で相手のシュートが23本、こちらが3本で1−0で勝ったことがありますが、攻められる続けると後ろに人数が増えて、シュートコースに何人も防ぎに行くことができるのです。
ここで点を取る方法は2つ。
一つはその「シュートコースに何人も防ぎに行った」所を個人技でかわす方法で、これが俊輔のゴール(試合の3点目)。
もう一つは、ゴールからボールが離れて、一瞬相手の集中力が抜けた時を狙うという方法で、これが俊輔のロングパスから闘莉王、大久保と渡った試合の2点目のゴールです。闘莉王についていたディフェンダーは本当にえらかったのですが、他の相手選手は完全にボールウォッチャーになっていて、大久保においてゆかれました。ゴール裏から見ていると、まるでスローモーションのようなゴールシーンでしたから。
そういう意味で(確か前の記事でも書いたつもりでしたが)、試合の「リズム」を作ったのが2トップ+松井+遠藤で、試合の「結果」をつくったのが俊輔と言えます。
これは西部さんという評論家が、「相手チームにとって、日本を抑える方法は簡単。ボールを持たせて、ゴール前中央を固めればよい」、「問題は抑える方法は判っているが、それを実行できるかは別問題」と仰っていました。
この日の日本は、「抑える方法を実行する」には変化が多すぎ(それでも、この流れから点を取ったわけではないので、如何に日本の方法がゴールから遠いかが判る)、更に加えて「抑える方法にはない個の力」があったからの大勝だったと思います。
ただし、これもアジアのレベルのディフェンダーだからであって、欧州やアフリカの強国にはまだまだ、というのはキリンカップの結果でした。
さて、明日の試合。最初の15分でどこまでハイペースの試合が出来るかが勝負だと思います。
オシム流が「守備から攻撃への切り換え」だとすると、岡田流は「攻撃から守備への切り換え」だと思っています(攻撃時の選手の集中が、そのまま相手ボールへの集中的な守備に繋がる。ただし、切り替えが遅いと目も当てられない不幸な結果に)。
つまり、(1997年の最終予選時の「北沢システム」のように)「メンバーや並びだけを見ると攻撃的だが、実は早い守備を考えたシステムこそ岡田さんの持ち味」だと思っています。だからこそ、攻撃のハイペースというのは、実は守備の強化と同義なのです。
オマーンのディフェンダーはほぼ総取っ替え(前の試合は出場停止で出ていないメンバーが多い)ですから、一人一人の動きに対応するまでに時間が掛かるはず。理想の1点目は15分くらいに、相手のディフェンスの小さなミスからボールを奪って、玉田にスルーパスが通るという「一見事故のような得点」です。
そうしたら、後はボールポゼッションを長くして時間を潰し、後半、守備要員として「矢野」(そう、キショーは前線の対ロングパス守備要員なのだ)を起用して逃げ切る(あるいは1点取られても良しとする)、というのが理想的なゲームプランでしょうか。
一番悪いのは、オマーンに負けることではありません(0−1で負けることも許容範囲)。
本当にマズイのは「タイを相手に取りこぼしをすること」です。
だからこそ、早めの時間で1点取ることが理想的。それで取れなかったら、あとは引き分け狙い(で、負けたって良い)で体力を温存。同じく中東遠征で疲労が予想されるタイを叩くということになりましょう。
そういう訳で、明日は材木座のスポーツバーでスパークリング赤ワインでもあけながら、岡田さんの仕上げを楽しみたいと思っています。